Tuesday, July 13, 2010


at Live Restaurant, Flamingo the Arusha
 2010年7月2日(金)、Kelly SIMONZのライブを見るために大阪へ。今回のライブに誘ってくれた友人と落ち合い、17時半にライブレストラン、フラミンゴ・ジ・アルージャへ。開場は18時半なので早過ぎないかな、と思っていたら既に3人いた!16時頃から並んでいたという。ファンの見本である。18時半、開場。ライブレストランということで、1ドリンク1フード。オシャレなたたずまいだ。

 19:30、オープニングはジャズギタリストIchiさんのソロから始まり、トリオへ。ジャズの調べが心地よい。

YO-KO, bassist
 現Blind Faithバンドのベースを弾いているYO-KO嬢がエレクトリックアップライトベースでジャジーなラインを奏でる。身長もあって立ち姿の格好良さ、美しさに惚れた(彼女のブログにも同じようなコメントがありますね(笑))。一転ファンク系へ、グルーヴィなベースに自然と体を揺らしていた。Ichiさんのギターはストラトらしい骨太なクリーントーンが耳に心地よかった。ドラマー氏(名前失念)はブラシあり、ドラムソロっぽいものもあり、抜けのいい音が印象的だった。

オフィシャルサイト『ギターリストいち山中、イチギター音楽総合スクールサイト』



Kelly covered songs of スティング
 いよいよKellyのステージがスタート。第1部はスティングのカバー。Kelly曰く「(ギターの)イングヴェイ以外でもっとも好きなアーティスト」とのこと。(スティングのソロはザ・ポリス時代のストレートなロック、パンキッシュでアップテンポな8ビート、レゲエのリズムという要素は薄くなり、ジャジーなアレンジ&バックメンバーで渋いAORが中心だったように思う。)メタルを演奏していてもこういう曲をさらっとライブでカバーするところが他のメタル系ミュージシャンとは違うところ。
Kelly sang songs of スティング
 Kellyはスティングのハスキーヴォイスとは少し違い、あまいミドルトーンで歌い上げる。YO-KO嬢とサイドギターのMantani氏のコーラスもバッチリだ。キーボードの岡田氏は原曲をイメージしたような音色で曲を盛り立てる。時折Kellyのエレクトリックナイロンギターが、もの悲しいメロディを奏でる。それにしても、どんなギターでも抜けの良い、心地よい音を聞かせてくれる。


support members
写真左はサポートメンバーのMantani氏、ストラトの透き通るようなクリーントーンを聴かせてくれた。右はキーボードの岡田氏、オーボエ(かイングリッシュホルン)風のサウンドとプレイが特に素敵でした。



Kelly played Ichi's guitar
 KellyはスティングのカバーでIchiさんのエレクトリックギターを借りると…音が出ない。機材のトラブルが発生したが、笑いを含んだトークでつなぎ、そうこうしているうちに復旧。こういう時にも焦らず余裕があるのは場数を踏んでいることもあるとは思うが、彼の精神の強さの現れだろう。驚いたことに、IchiさんのギターからしっかりKellyの音がしていた。やっぱりギターの音は最終的に腕で決まると言われるが、本当のようだ。



Kelly played Four Seasons
 後半スタートのカーテンが上がると同時にステージの照明が一斉に明るくなり、ドライアイスが舞う。照明と同時にオケバックとギターの音がつんざく。曲はヴィヴァルディ「四季」アレンジバージョン。写真にあるように中世の西洋絵画のようでもあり、曲も相まって教会でバロック音楽を聴いているような感じだった。ヴァイオリンの速いかけ上がりのパッセージも流麗なエコノミーピッキングでオケとユニゾンする。元スコーピオンズ/エレクトリックサンのUli Jon Rothもこの曲をやっていたが、フィンガリングやポジション、ハンマリングやプリング等のスラーかピッキングかの選択も違っており、フレーズに対する表現の解釈が違っており興味深い。DVDが発売されたらじっくり聴いてみたい。


 クラシック楽曲用にオーダーされたニューギター、ルネサンスK『マエストロ』はEMGのハムバッキングということもあって非常に滑らかなトーン。特に私の席(左端)ではホールの響きもあってか、オケとのなじみも良かった。ギターの細かいニュアンスが聞き取れにくかったが、後で中央の方に聞くとバッチリ聞こえていたそうだ。YOUTUBEにアップされている動画の音声はマルチトラックで録音されたということで非常にクリアーであり、ニュアンスもよく聞こえる。
Kelly with his new guitar, Maestro
 スメタナ作曲『わが祖国』第2曲『モルダウ』については、Kellyはかなり以前からネットでも公開しており、私も愛聴していた。生で聴くとより一層、ギターのニュアンスを感じることができ、この曲の壮大でもの悲しいメロディがよく伝わってきた。
 続くシューベルトのアヴェ・マリアでは全編ボリューム奏法で演奏された。ギターは弦をピックではじく撥弦楽器なので、通常音にはアタックがあるのだが、ギターのボリュームを絞ってピッキングし、すぐさまボリュームを上げるとアタックは出ずにまるでバイオリンのような音色がでる。故にバイオリン奏法とも呼ばれる。Kellyのアレンジでは単音だけでなく和音も多かった。クリーントーンからディストーションへ、和音で歪み感が強くなり始める音量でボリュームを止めて和音にヴィブラートを掛けるなど、絶妙な音色を聴かせてくれた。速いパッセージは全くないが、音楽的には高度な表現を求められる。


 次のベートーベンのピアノソナタ第8番『大ソナタ悲愴第3楽章』は打って変わって、メタルアレンジバージョン。2バスを基本にいわゆる「ネオクラシカルメタル」といったアレンジが施されているが、今回はバンドでなくオケだった。2010年7月23日にリットーミュージックより発売される『ギター・マガジン 超絶ギタリスト養成ギプス 孤高のクラシック名曲編 (CD付き)』にも収録されるそうだ。スウィープピッキングやタッピングによる分散和音が要所要所にアレンジされており、また原曲のメロディアスなところはしっかりギターらしいニュアンスで再現されている。この手のギターフリークがコピーしたくなるアレンジだ。次回は生のドラムとベースで聴いてみたい。
Band played the loner.


 バンドが入って、曲はゲイリー・ムーアのThe Loner。泣きのギターをたっぷり9分オーバー。聴いている分には9分なんて感じられなかったほど、バンドとしてのグルーヴも心地よく、気持ちの良いギターにたっぷり浸ることができた。
 続いてイングヴェイの定番曲Far Beyond The Sunで会場はヒートアップ。イングヴェイもイントロとして使っている曲、アルビノーニのアダージョ(レモ・ジャゾットの作曲)からスタート。ギターは届いたばかりというブルーのルネサンスK『ヴァーチュオーゾ』。こちらのギターはEMGのピックアップでなく、Dimarzioのヴァーチャル・ヴィンテージで、シングルコイルっぽさがよく出ており、イングヴェイの曲にもぴったりだ(笑)。Kellyっぽさも挟みながら、イングヴェイっぽいニュアンスを聴かせてくれた。また、今ではイングヴェイ自身が弾かなくなった原曲のメロディラインをある程度忠実に再現してくれた。岡田氏のキーボードソロは、オリジナリティあふれるソロを聴かせてくれた(私のようなオールドファンは、原曲のイェンスのプレイに近いハーモニックマイナー系を聴きたかったです…)。ドラムのYOSUKE YAMADA氏も本領発揮とばかりにドライブするドラミングだ。本当に心地よさそうに自由にギターを弾いており、バンドの一体感も素晴らしい。聴いているこちらも楽しくなる演奏だった。
 キーボードの岡田氏が抜けて3人に、現Blind Faithと言うべきか。アンコールに当たるCry for youからOpus#1へ立て続けにたたみかける。Cry for youではゲイリーのThe Lonerに負けるとも劣らない泣きのギターを聴かせてくれた。
 Opus#1はまさしく超絶テクニックを要求される曲。この難易度の高い曲で、正確さを保ちながらかつ燃えさかる炎のようなプレイを聴かせてくれた。YOUTUBEを見ながら書いているが、当日のことも思い出されて鳥肌が立つ。それほどまでに彼のプレイは人の心を揺さぶり、かきむしる。まさにヴァーチュオーゾ、名演奏家である。
 次は是非、Blind Faithでオリジナル曲を聴きたい。

Kelly with his new guitar,   Virtuoso

 上記の数曲は既にオフィシャルブログ/YOUTUBEでは動画が公開されているので、ほとんどの方はチェック済みだと思う。まだの方は是非見ていただきたい。当日の雰囲気が高画質で味わえる。このような動画を撮影してくれたチームドクターズ、オフィシャルブログで掲載されている写真を撮影してくれた岡さんには本当に感謝したい。彼らもKellyのファンであり、演奏を純粋に楽しみたいはずだと思う。(自分は写真を撮っているときは集中して聴きたくなったり、聴いていていい場面だと撮影したくなったりと非常にもどかしかった。)まだライブを見ていない方は、次は是非生で聴いて欲しい。



 私はエレクトリックギター(やロック系バンド)とオーケストラという組み合わせにとても興味があって、ディープパープル、メタリカ、イングヴェイ、ヴァイ等ちょこちょこチェックしている(スコーピオンズはちらっと聴いただけで、布袋寅泰氏はまだ未チェック)。特にイングヴェイの協奏組曲はライブも見ることができ、非常に楽しむことができた。イングヴェイの協奏組曲ついては、デヴィッド・ローゼンサル(元レインボウ、ビリー・ジョエル)によるオーケストレーションも大きいだろう。(個人的な注文(^-^;)を言うならユニゾンが多いことや、ギターソロは全くのフリーであるので、もう少しアレンジされたメロディが聴いてみたい。Kellyはそのオーケストレーションも自分で行うことができ、オケとギターの絡みをイングヴェイとは違う方法論で見せてくれそうであり、今回のクラシック曲のアレンジにはその片鱗をうかがうことができた。ギターソロに関しては彼のオリジナル曲でも聴けるように、アレンジソロとフリーソロのバランスは素晴らしい。数年後には、Kellyと生のオーケストラによるコンサートも見てみたい。彼の場合には、エレキのソロ+オケは勿論、サイレント・スクリームのような楽曲でバンド+オケもあるだろう。実現には困難を伴うと思うが、是非とも見せていただきたい。

*写真は許可を得て撮影しております。

*2010.7.13修正と追記。



drummer, YOSUKE

YOSUKE YAMADAオフィシャルブログ『Yochin Life』最近ファッションモデルのお仕事も始められました。男前です。



YO-KO

『Bass YO-KO Official Blog』いろんなジャンルでベースを弾かれております。



Happy birthday!!

Kelly SIMONZオフィシャルブログ(ココログ)

Kelly SIMONZオフィシャル旧ブログ(アメブロ)

Kelly SIMONZオフィシャルサイト(2010年7月現在改装中)



Kelly,  virtuoso.