Sunday, December 25, 2016

合唱団録音

備忘録。

 以前ある合唱団の、録音物のミキシング&マスタリングをしたことがあってそれを気に入って貰っていた。その関係から別の合唱団の録音の話が舞い込んだ。休日ではあったが、仕事が山積しており断ろうかとも思った。が、良いチャンスなので最低限の仕事を片付けられる見込みが出た時点で引き受けた。

◆録音機材 録音場所(小さめの教会)2016年12月某日
*Main Recording System
Microphone x2: AKG C1000S
Audio Interface: STEINBERG CI2+
PC: APPLE MacBook Pro late2013 (MacOS10.12, RAM8GB, SSD512GB)
Software: STEINBERG Cubase Elements 9
Monitor Headphone: SONY MDR-CD900ST
簡易モニターとして、BOSE SoundLink Mini

*Sub Recording System
SONY HDR-MV1 (sound only mode:WAV)
Monitor Headphone: SONY MDR-Z900

 マイクはステレオ録音となると、本来ペアマイクが望ましいが、持っていないし借りられなかった。手持ちのC1000Sと借りたC1000Sで録音。機種名は変わってないけど、本体も黒くなって新しくなっていた。私の耳では音質差は特に感じられなかった。

 マイクケーブルは手持ちの3mに5mを買い足してつなげ、8mにした。人数は多くなかったが、横1列だったので、マイクとマイクの距離をある程度確保したかった。
 今回悩んだのが、このマイクのセッティング。合唱団の録音は初めてだったので、ネット上で調べてみた。今回参考にさせていただいたサイトはこちら。 ヒロハラ録音講座5

 自宅でマイクを2本セットし、試してみたが音源が自分しかいないので参考にならず、機材チェックにしかならなかった。本番前の試し録音で調整するしかない。
 録音当日、ブームスタンドで一番高くにマイクをセッティングし、試し録音してみた。簡易モニターとして、BOSE SoundLink Miniを使ったが、指揮者の方及び指導助言の方の顔が少し曇ったので焦った。後でモニターヘッドフォンを聞いてもらったら、「いい音です。CDのようです。」と安心してもらえた。FOSTEX NF-01Aは重いし大きいので今回は持って行かなかったのだが、少し後悔した。BOSEのこれはよく売れているようだが、中域から高域が薄く感じ、ハイファイ感がない。低域があって今風?の音楽にはぴったりなのかもしれないが…。自分には合わなくて買ったことを後悔。持ち運びやすくてそこそこ音量が出るアクティブモニタースピーカーが欲しい。

 閑話休題。響きが多いので少し輪郭をくっきりさせて欲しいと要望があったので、マイクを少し下げた。定位・ステレオ感が少し広く中抜けのような気がしていたが、問題ないとのことなので、角度はいじらなかった。後でじっくり聞いてみると少し中抜けに聞こえる。これは好みか…。
 何度もセッティングを変更できるような感じでもなかったので、そのまま録音した。試し録音では、定位ばかり気にしすぎて、クリップに気がつかなかった。再生してみると音量が大きくなるところで歪んでいた。

 2回録ったところで、指導助言の方から演奏(歌)は酔いが少し硬くなっているので、休憩を挟んでリラックスして踊りながら録ってみてはどうかと提案があった。ノイズが気になったが、それはOKとのことだった。開放感があるので、靴を脱いでダンスするという。ソックスだとノイズも少ないので一石二鳥か。演奏が途端に生き生きしてきた、と感じた。視覚による錯覚かもしれないと思って、目をつむって聴いたが違っているようだ。4回目はラスト。今日一番の演奏だったようだ。速やかにバラし、CD-Rの納品の話をし、挨拶をして教会を後にした。

◆ミックス・マスタリング機材 2016年12月某日
PC: APPLE MacBook Pro late2013 (MacOS10.12, RAM8GB, SSD512GB)
Mixing Software: STEINBERG Cubase Elements 9
Mastering Software: STEINBERG WaveLab Elements 8
Audio Interface: STEINBERG CI2+
Monitor Speaker: FOSTEX NF-01A
Monitor Headphone: SONY MDR-CD900ST

 依頼主からの要望はそのままCDにして欲しいということだったので、WaveLabで焼いた。焼く前に、何十回も録音を聴いたが歌が上手い。今回の合唱団は学生さんだったが、レベルの高い練習をずっとしてきたのだろう。

 Cubaseでイコライジングし、チューブコンプレッサーをかけ、リヴァーブを少しだけ足した、エフェクトを積極的にかけた別バージョンも作成してみた。本来の合唱CDはどんな感じでミックスしているんだろうか。私の音楽(特に合唱)に関する知識は少ないので、ミックスやマスタリングをどうすべきかで悩んだ。これも勉強かな。

 本格的な録音はアカペラグループ以来だったが、その時は16トラック音楽専用ハードディスクレコーダーで録音だったので、今回PCベースでの録音は初めてだった。初対面の方ばかりで人見知りの私はかなり緊張したが、録音は良い経験になった。非常に疲れたが、やりがいもあってある程度の達成感もあった。もし次回があれば、マイクセッティングをもっと勉強して取り組みたい。マイクはグレードアップできたら音質の向上に繋がるのだろうけど、使用頻度が低いし良いマイクは高いので、中々購入はしづらい。オーディオインターフェースもグレードアップしたいけど、新型Macbook Pro(Late2016)はポートがThunderbolt 3のみになってしまったので、Macを将来的に買い換えることを考えると、オーディオインターフェースの買い替えのタイミングは、Thunderbolt 3対応になってからかなと思う。

 ロックバンドの方も再起動したいが、新年度からかな…。

Tuesday, July 13, 2010


at Live Restaurant, Flamingo the Arusha
 2010年7月2日(金)、Kelly SIMONZのライブを見るために大阪へ。今回のライブに誘ってくれた友人と落ち合い、17時半にライブレストラン、フラミンゴ・ジ・アルージャへ。開場は18時半なので早過ぎないかな、と思っていたら既に3人いた!16時頃から並んでいたという。ファンの見本である。18時半、開場。ライブレストランということで、1ドリンク1フード。オシャレなたたずまいだ。

 19:30、オープニングはジャズギタリストIchiさんのソロから始まり、トリオへ。ジャズの調べが心地よい。

YO-KO, bassist
 現Blind Faithバンドのベースを弾いているYO-KO嬢がエレクトリックアップライトベースでジャジーなラインを奏でる。身長もあって立ち姿の格好良さ、美しさに惚れた(彼女のブログにも同じようなコメントがありますね(笑))。一転ファンク系へ、グルーヴィなベースに自然と体を揺らしていた。Ichiさんのギターはストラトらしい骨太なクリーントーンが耳に心地よかった。ドラマー氏(名前失念)はブラシあり、ドラムソロっぽいものもあり、抜けのいい音が印象的だった。

オフィシャルサイト『ギターリストいち山中、イチギター音楽総合スクールサイト』



Kelly covered songs of スティング
 いよいよKellyのステージがスタート。第1部はスティングのカバー。Kelly曰く「(ギターの)イングヴェイ以外でもっとも好きなアーティスト」とのこと。(スティングのソロはザ・ポリス時代のストレートなロック、パンキッシュでアップテンポな8ビート、レゲエのリズムという要素は薄くなり、ジャジーなアレンジ&バックメンバーで渋いAORが中心だったように思う。)メタルを演奏していてもこういう曲をさらっとライブでカバーするところが他のメタル系ミュージシャンとは違うところ。
Kelly sang songs of スティング
 Kellyはスティングのハスキーヴォイスとは少し違い、あまいミドルトーンで歌い上げる。YO-KO嬢とサイドギターのMantani氏のコーラスもバッチリだ。キーボードの岡田氏は原曲をイメージしたような音色で曲を盛り立てる。時折Kellyのエレクトリックナイロンギターが、もの悲しいメロディを奏でる。それにしても、どんなギターでも抜けの良い、心地よい音を聞かせてくれる。


support members
写真左はサポートメンバーのMantani氏、ストラトの透き通るようなクリーントーンを聴かせてくれた。右はキーボードの岡田氏、オーボエ(かイングリッシュホルン)風のサウンドとプレイが特に素敵でした。



Kelly played Ichi's guitar
 KellyはスティングのカバーでIchiさんのエレクトリックギターを借りると…音が出ない。機材のトラブルが発生したが、笑いを含んだトークでつなぎ、そうこうしているうちに復旧。こういう時にも焦らず余裕があるのは場数を踏んでいることもあるとは思うが、彼の精神の強さの現れだろう。驚いたことに、IchiさんのギターからしっかりKellyの音がしていた。やっぱりギターの音は最終的に腕で決まると言われるが、本当のようだ。



Kelly played Four Seasons
 後半スタートのカーテンが上がると同時にステージの照明が一斉に明るくなり、ドライアイスが舞う。照明と同時にオケバックとギターの音がつんざく。曲はヴィヴァルディ「四季」アレンジバージョン。写真にあるように中世の西洋絵画のようでもあり、曲も相まって教会でバロック音楽を聴いているような感じだった。ヴァイオリンの速いかけ上がりのパッセージも流麗なエコノミーピッキングでオケとユニゾンする。元スコーピオンズ/エレクトリックサンのUli Jon Rothもこの曲をやっていたが、フィンガリングやポジション、ハンマリングやプリング等のスラーかピッキングかの選択も違っており、フレーズに対する表現の解釈が違っており興味深い。DVDが発売されたらじっくり聴いてみたい。


 クラシック楽曲用にオーダーされたニューギター、ルネサンスK『マエストロ』はEMGのハムバッキングということもあって非常に滑らかなトーン。特に私の席(左端)ではホールの響きもあってか、オケとのなじみも良かった。ギターの細かいニュアンスが聞き取れにくかったが、後で中央の方に聞くとバッチリ聞こえていたそうだ。YOUTUBEにアップされている動画の音声はマルチトラックで録音されたということで非常にクリアーであり、ニュアンスもよく聞こえる。
Kelly with his new guitar, Maestro
 スメタナ作曲『わが祖国』第2曲『モルダウ』については、Kellyはかなり以前からネットでも公開しており、私も愛聴していた。生で聴くとより一層、ギターのニュアンスを感じることができ、この曲の壮大でもの悲しいメロディがよく伝わってきた。
 続くシューベルトのアヴェ・マリアでは全編ボリューム奏法で演奏された。ギターは弦をピックではじく撥弦楽器なので、通常音にはアタックがあるのだが、ギターのボリュームを絞ってピッキングし、すぐさまボリュームを上げるとアタックは出ずにまるでバイオリンのような音色がでる。故にバイオリン奏法とも呼ばれる。Kellyのアレンジでは単音だけでなく和音も多かった。クリーントーンからディストーションへ、和音で歪み感が強くなり始める音量でボリュームを止めて和音にヴィブラートを掛けるなど、絶妙な音色を聴かせてくれた。速いパッセージは全くないが、音楽的には高度な表現を求められる。


 次のベートーベンのピアノソナタ第8番『大ソナタ悲愴第3楽章』は打って変わって、メタルアレンジバージョン。2バスを基本にいわゆる「ネオクラシカルメタル」といったアレンジが施されているが、今回はバンドでなくオケだった。2010年7月23日にリットーミュージックより発売される『ギター・マガジン 超絶ギタリスト養成ギプス 孤高のクラシック名曲編 (CD付き)』にも収録されるそうだ。スウィープピッキングやタッピングによる分散和音が要所要所にアレンジされており、また原曲のメロディアスなところはしっかりギターらしいニュアンスで再現されている。この手のギターフリークがコピーしたくなるアレンジだ。次回は生のドラムとベースで聴いてみたい。
Band played the loner.


 バンドが入って、曲はゲイリー・ムーアのThe Loner。泣きのギターをたっぷり9分オーバー。聴いている分には9分なんて感じられなかったほど、バンドとしてのグルーヴも心地よく、気持ちの良いギターにたっぷり浸ることができた。
 続いてイングヴェイの定番曲Far Beyond The Sunで会場はヒートアップ。イングヴェイもイントロとして使っている曲、アルビノーニのアダージョ(レモ・ジャゾットの作曲)からスタート。ギターは届いたばかりというブルーのルネサンスK『ヴァーチュオーゾ』。こちらのギターはEMGのピックアップでなく、Dimarzioのヴァーチャル・ヴィンテージで、シングルコイルっぽさがよく出ており、イングヴェイの曲にもぴったりだ(笑)。Kellyっぽさも挟みながら、イングヴェイっぽいニュアンスを聴かせてくれた。また、今ではイングヴェイ自身が弾かなくなった原曲のメロディラインをある程度忠実に再現してくれた。岡田氏のキーボードソロは、オリジナリティあふれるソロを聴かせてくれた(私のようなオールドファンは、原曲のイェンスのプレイに近いハーモニックマイナー系を聴きたかったです…)。ドラムのYOSUKE YAMADA氏も本領発揮とばかりにドライブするドラミングだ。本当に心地よさそうに自由にギターを弾いており、バンドの一体感も素晴らしい。聴いているこちらも楽しくなる演奏だった。
 キーボードの岡田氏が抜けて3人に、現Blind Faithと言うべきか。アンコールに当たるCry for youからOpus#1へ立て続けにたたみかける。Cry for youではゲイリーのThe Lonerに負けるとも劣らない泣きのギターを聴かせてくれた。
 Opus#1はまさしく超絶テクニックを要求される曲。この難易度の高い曲で、正確さを保ちながらかつ燃えさかる炎のようなプレイを聴かせてくれた。YOUTUBEを見ながら書いているが、当日のことも思い出されて鳥肌が立つ。それほどまでに彼のプレイは人の心を揺さぶり、かきむしる。まさにヴァーチュオーゾ、名演奏家である。
 次は是非、Blind Faithでオリジナル曲を聴きたい。

Kelly with his new guitar,   Virtuoso

 上記の数曲は既にオフィシャルブログ/YOUTUBEでは動画が公開されているので、ほとんどの方はチェック済みだと思う。まだの方は是非見ていただきたい。当日の雰囲気が高画質で味わえる。このような動画を撮影してくれたチームドクターズ、オフィシャルブログで掲載されている写真を撮影してくれた岡さんには本当に感謝したい。彼らもKellyのファンであり、演奏を純粋に楽しみたいはずだと思う。(自分は写真を撮っているときは集中して聴きたくなったり、聴いていていい場面だと撮影したくなったりと非常にもどかしかった。)まだライブを見ていない方は、次は是非生で聴いて欲しい。



 私はエレクトリックギター(やロック系バンド)とオーケストラという組み合わせにとても興味があって、ディープパープル、メタリカ、イングヴェイ、ヴァイ等ちょこちょこチェックしている(スコーピオンズはちらっと聴いただけで、布袋寅泰氏はまだ未チェック)。特にイングヴェイの協奏組曲はライブも見ることができ、非常に楽しむことができた。イングヴェイの協奏組曲ついては、デヴィッド・ローゼンサル(元レインボウ、ビリー・ジョエル)によるオーケストレーションも大きいだろう。(個人的な注文(^-^;)を言うならユニゾンが多いことや、ギターソロは全くのフリーであるので、もう少しアレンジされたメロディが聴いてみたい。Kellyはそのオーケストレーションも自分で行うことができ、オケとギターの絡みをイングヴェイとは違う方法論で見せてくれそうであり、今回のクラシック曲のアレンジにはその片鱗をうかがうことができた。ギターソロに関しては彼のオリジナル曲でも聴けるように、アレンジソロとフリーソロのバランスは素晴らしい。数年後には、Kellyと生のオーケストラによるコンサートも見てみたい。彼の場合には、エレキのソロ+オケは勿論、サイレント・スクリームのような楽曲でバンド+オケもあるだろう。実現には困難を伴うと思うが、是非とも見せていただきたい。

*写真は許可を得て撮影しております。

*2010.7.13修正と追記。



drummer, YOSUKE

YOSUKE YAMADAオフィシャルブログ『Yochin Life』最近ファッションモデルのお仕事も始められました。男前です。



YO-KO

『Bass YO-KO Official Blog』いろんなジャンルでベースを弾かれております。



Happy birthday!!

Kelly SIMONZオフィシャルブログ(ココログ)

Kelly SIMONZオフィシャル旧ブログ(アメブロ)

Kelly SIMONZオフィシャルサイト(2010年7月現在改装中)



Kelly,  virtuoso.

Wednesday, June 30, 2010

KellySIMONZの魅力
 Kelly Simonz(ケリー・サイモン)は、大阪出身のミュージシャン。ミュージシャンがメインだが、マルチタレントである。マルチタレントという言葉の印象はちょっと古く感じるかも知れないが、まさにマルチという言葉がふさわしい。以下に列挙してみよう。

【1】エレキ&アコースティックギター
 ギターを弾く人なら、彼のテクニックがどれほど凄いかわかって貰えるだろう。YouTubeやオフィシャルサイトで映像を見ることができる。

 華麗な左手のフィンガリングや正確な右手のピッキングが凄い。プレイをコピーしてみるとどれほど凄いのかを更に実感するだろう。特にエコノミーピッキングによる上昇や下降の速さや滑らかさ、粒立ちの良さは絶品だ。
 しかし、彼の凄さは速弾きだけではない。ヴィブラートをはじめとした、表現系のテクニックもハイレベルだ。特にトーンコントロールは絶品。ピックの角度や深さで音は千変万化するし、右手の親指の腹の当て具合等で倍音が変わる。また、左手のタッチもあいまって、色気のあるトーンを紡ぎ出す。タッチの良さは特にアコースティックギターで感じることができる。(アルバムはエレクトリックアコースティックギターで録音されていることが多いが、個人的にはそのタッチがいくらか消えてしまうというか、アコースティックギターとは別の楽器だと思う。)
 このタッチやトーンコントロールは、音源が圧縮されるほどニュアンスが消えてしまう。できればmp3やネット上の動画でないCD等で、高音質のイヤフォンやステレオセットで聴いて欲しい。(とはいっても比較的高音質のサイトも出てきてるけど)
 加えて、タイム感が素晴らしい。ノリやグルーヴというか、彼のギター(や他の楽器も)はよく歌うし、ドライヴ感が心地よい。凄く洋楽っぽい。これはアメリカ(MIやバンド、スタジオの仕事、ライブ)での経験が大きいだろうか。

【2】作詞作曲、編曲
 彼の大きな魅力の1つである作詞作曲。曲の完成度が高いこと、編曲が優れていること。現在のところメインはネオクラシカルハードロックというジャンルでCDを出しているが、メタル系にとどまらないロックやフュージョン系、J-POPや演歌といったものまで発表している。

【3】ヴォーカル&コーラス
 彼のヴォーカルの魅力はミドルトーンとブルージー・ソウルフルな歌い回しだと思う。メジャー1st「Silent Scream」のタイトルチューン等は、オクターブ下のロートーンヴォイスもあり、彼の持ち味がよく出ていると思う。ハイトーンのメタルは本来の自分のスタイルとは違うと本人も語っている。
 彼の得意なバラードやブルーズロックのカヴァーを聴いて欲しい。彼のヴォーカリストとしてのポテンシャルを感じられるだろう。また、CDでは彼のコーラスワークも聴けるが、ピッチや音色も素晴らしく、アレンジもバッチリだ。
 彼の楽曲は英語が中心だが、彼は撥音を大切にするため、アメリカ時代にレッスンを受けているとのこと。

【4】エレキベース
 曲をドライヴさせるうねりが凄い。テクニック的にはギターとの速いユニゾン、ヴィブラートはギターにも負けない揺れが超絶。彼のサイトには、完成前のドラムとベースだけの音源が聴けることがあるが、ベースのみに集中すると音の表情が聴けて楽しい。ベースラインもよく練られている。

【5】ドラム
 センスが良く且つテクニックもハイレベル。自身が作詞作曲し歌うということもあるが、歌を引き立てるドラミングだと思う。クラシック曲のロックアレンジ版のフレージングも素晴らしい。単に2バスにクラシックのメロディを乗せるだけでなく、原曲のメロディを盛り立てるフィル(というかドラミング?)だ。ギターに耳が行きがちな彼の曲であるが、ドラムにも是非耳を澄ませて欲しい。彼はアメリカ時代に、テクニカルで有名なロッド・モーゲンスタイン(ex.ディキシー・ドレッグス、WINGER)に手ほどきを受けていたと聞く。

【6】キーボード&打ち込み
 キーボードも速いフレーズでなければ、それなりに弾ける、と語っている(ハズ)。

【7】MIDI & DAW
 PCを中心としたシステムでMIDI経由のハードシンセやソフトシンセも使いこなしているようだ。例えばハープシコードの音色は、ドラムのシンバルサウンドに埋もれがちになるがおそらく音源を2つにして重ねたり、音色をエディットして曲の中でも抜けるサウンドになっている。作曲においてもバリバリ使っているのかと思いきや、アコギと歌で作るとのこと。

【8】レコーディング
 インディーズ1stでは単体HDR(マルチトラックハードディスクレコーダー、ローランドVS-880)から、今はおそらくPCレコーディングに移行していると思うが、ギターは勿論、ドラムのマイキングまでやって自分で演奏して録って…、八面六臂の活躍とはこのことである。

【9】ミキシング
 インディーズ1stの頃は確かYAMAHAの03Dか何かを使っていたと思う。現在はPCでミキシングだと思うが、専門のエンジニアがいる世界である。一般的なメタル系ギタリストでここまでできる人はいないだろう。ドラムの各パートのバランス、スネアやバスドラの音作り、リヴァーブやイコライジング、コンプといった処理も普通に聞いていると全くわからない。そう、ミキシングエンジニアがやっていると思えるぐらい素晴らしい。メタル系ミュージシャンでミキシングにも手を出す人もいるが、ここまでのクオリティは出せていないと思う。適切な文章表現ができないのが悔しいがとにかくスゴイんデス!

【10】マスタリング
 インディーズ1stの頃は専門の業者に出していたと思うが、最近では自分で行っている。ハードやソフトの進歩や高性能化が著しいが、これもミキシングと同じく専門のエンジニアがやっている世界。私のような素人にはその大変さや難しさはほんの少ししかわからないが、このマスタリングという作業はよい耳と高い技術が必要だと思う。マルチバンドコンプで音圧をただ稼げばよいだけでなく、1曲の完成度を高めつつ、曲と曲とのつながりやアルバム全体も考えながら高めていくのだろう。

【11】映像編集
 発売されているDVDやネット上の映像も全て編集しているそうだ。「できるからやる」とは彼の言葉だが、センス良くまとめる彼の感性に驚く。

【12】CD/DVDジャケット制作
 インディーズ1st、メジャー1stのジャケット制作はプロのデザイナーさんの作品だが、その彼がKellyはデザイナーでも「食える」とおっしゃっていた。サイトのデザインもおそらく彼だけで作成していると思うが、本当にセンスがよく、絵心があると思う。

【13】ウェブサイト制作
 ウェブデザイナーでも食っていけるだろう。(笑)今までのオフィシャルサイトのデザインはどれも素晴らしかった。この世界も流れが早く、Web1.0時代はテーブルタグでレイアウトしていたが、現在はCSSが中心である。そういった技術もあっという間にモノにしてしまう。

【14】営業
 いわゆるレコード会社や音楽マネージメントと契約するのではなく、自分でCDを作成しそれを流通に載せCDショップで売っている。ネット上の販売も早かったし、海外のレーベルとも契約して、海外のファンも通販で彼の作品を手に入れることができた。amazonで、iTunesで検索して欲しい。大手と契約していなくともこうやって作品をリスナーに届けられている。彼がもしビジネスマンなら、どういう仕事ぶりだろうか。

【15】トーク
 ライヴではMCも1つの要素である。彼は大阪人であるが、彼にはお笑いの血が流れている(笑)。ある時は2枚目に、ジョークで笑わせる。時にはちょっぴり自虐的?なネタも織り交ぜて楽しませてくれる。オフィシャルブログを読んで貰うとその片鱗を感じることができるだろう。しかし、ブログでは彼の面白さは十分伝わらない。ライヴで、またクリニックで彼の絶妙なトークを体験して欲しい。


 今日日、ミュージシャンなら大なり小なり上記のことには手を染めている人も少なくないだろう。PCを中心としたDAWやMA等が個人ベースでできる、まさにそんな時代なのだから。しかし彼ほどの才能に恵まれ、その才能に溺れることなく努力し、結果を出している人は本当に一握りの人間だと思う。
 彼の魅力はイングヴェイに影響を受けた速弾きだけではない。それは本当にほんの一部だ(その部分の成長も著しく驚かされる)。いろんな面から細部を追っていくと、彼がどう自分の音楽を作り上げようとしているか、心血を注いでいるかを感じることができる。

 2010年7月2日(金)大阪で彼のライヴを3年ぶりに見る予定だ。楽しみでたまらない。
ライブレストラン フラミンゴ・ジ・アルーシャ

 彼はまだまだ活躍するだろうし、もっともっと有名になって世界で活躍して欲しい。40歳を迎える彼の今後から目が離せない。

Happy birthday, KELLY!!

Thursday, June 24, 2010

モチベーションがアップした!その理由

 3~4月の忙しさほどではないものの、相変わらず仕事の量が多く、常にしめ切りに追われている。大袈裟な表現だが、気持ちがずっと仕事に縛られている感じ。

 久々にネット上の友人から、好きなアーティストのライブに行くかどうかの連絡があった。どうせ仕事の都合はつかないだろうとはなからあきらめていたが、スケジュールと仕事内容を点検してみるとなんとかなりそうだ!
 飛行機代がネックだが、妻に相談したら快くOKが。仕事漬けの毎日だからリフレッシュして刺激を貰ってきたら、と言う。いいこと言ってくれれるじゃねーか。(ToT)
 ここで、テンションが上がり、モチベーションも上がる。普段ならウィークデーは残業、土日も出勤か自宅で仕事をだらだらやってしまっているがそれではライブに行けない。仕事をやっつけなければならない。普段より精力的になっている。

 趣味ややりたいことはたくさんあるけど、仕事の忙しさもあってほとんど実現できてない。一人でいろいろやりたいということもあるので、余計にそうなってしまう。しかしこのようなイベントがあると違ってくる。

1.ライブという期日がある(しめ切り)
2.アーティストの生演奏が聴ける
3.久々の友人達に会える

 ライブ+オフ会(?)。好きなアーティストのライブが見られるだけでも嬉しいのに、同じファンとしてライブ後を共有できるというのも、このライブオフ会の醍醐味である。

 仕事以外での趣味や生き甲斐(表現が古いか)が大切、とよく言われる。実感すると、改めて思う。どんなに忙しくても上手くやりくりして、せめて数年に一度はこんな刺激を設定したいものだ。
 これほどまでに気分が高揚している自分に、驚いている。

***

 このアーティストをインターネットで知り、同じファンになった者同士がメールやBBS、チャットでやりとりをしていた。その中のギターをやっている者は、自分のプレイをファイルにし、自分のサイトを作ってアップした。当時はリアルオーディオが主流だったな。週末のチャットが楽しくてたまらなかった。
 その後、転勤や卒業といった理由からネットに接続できる時間も減り、次第に疎遠になっていった。サイトは閉じられ、メールアドレスも変更になったらしく、久々に出したメールは宛先不明で返ってきた。そんな中、mixiやTwitterで再会できた人もいる。

 今回久々に会える友人達は、2000年にこのアーティストのライブで一緒になった。その後、2007年のライブでは、後の飲み会でも楽しく過ごさせていただいた。アーティストと、友人達との3年ぶりの再会が凄く楽しみだ。

 そのアーティストとはKelly Simonz(ケリー・サイモン)。才能豊かな大阪出身のミュージシャン。メインの活動はヘヴィメタルだが、1ジャンルにとらわれない「音楽家」だ。彼については、後日。

http://ameblo.jp/kellysimonz/ (もうすぐ移転予定)

 写真は、このアーティストのライブに着ていった自作(!)のTシャツ。画用紙に描いたロゴを切り抜いて(ステンシルだ)、Tシャツにスプレーのりで貼り付ける。スポンジにアクリル絵の具をつけ、ポンポンとのせていく。のせすぎるとTシャツの着心地はゴワゴワ(笑)。ライブで会った友人知人はこちらがいうまで誰も気が付かなかったという悲しい思い出…。